2歳半が血尿出した話

 

 ある日、娘と風呂に入っていると、いつものように
「おしっこでる」と、洗い場で放尿を試みる娘、それをニコニコ眺める全裸中年男性
 そこから出てきたのは薄ピンクの綺麗な色のおしっこであった。
「ムムムッ!」となった全裸中年男性。
 娘も
「ピンクが出たねぇ」とまるで当たりを引いたかのように嬉しそうである。

 風呂から出てすぐに検索をかけたところ、赤ちゃんはレンガ尿という赤系の尿が出ることもあるらしい。
 2歳半が赤ちゃんかどうかも怪しいが、当の薄ピンクの聖水は既に排水溝に流れていってしまったし、ここは心の奥にしまい、もう一度見たら対応を考えようということにして、妻には無用な心配は掛けまい、と黙っておくことにした。
 今思い返せば、ここで大きく動いていても結果は大きく変わらず、大して間違えてはない対応ではあったが、今後はもう少し娘の体調について真剣に取り合おうと決意した中年男性。

 時は進み、もうそのピンクおしっこがいつだったかも忘れかけたとき、ある日今度は妻が娘と入浴中に叫ぶ。
「パパちょっと来て、スマホもってきて!」
 アホ面して駆け付けたそこにはどこかで見たピンクのおしっこが。
 さすが妻、スマホはこれを写真に収めるためだった。
 いそいそと写真を撮る中年男性。
 いやぁ、これは参ったぞ、と内心。
 どうやら、何か、ではありそうだ。

 翌日、朝5時台に起きてかかりつけ小児科の順番受付を済まし、3番目に予約を取り付けた中年男性は、それを自慢げに妻に話し、いそいそと小児科に向かった。
 小児科では尿以外の所見が見られず、写真で見せたピンク尿も床が汚いため判断が難しく(これは中年男性が掃除をさぼっているためだ)、検尿キットを渡され、次気になることがあったら検尿してからくるように言われた。
 こうなったら今週来週にもう一度ピンク尿が出現して、もう一度受診することになるだろうな、と予想していたら、その日の保育園からの連絡で、一日中おしっこがピンクだったと。
 帰ってからのおむつも完全にピンク。薄ピンクでもなくなっていた。
 これは参った。これは何かだ。

 翌日、かかりつけの小児科に行き、尿検査後、速攻で紹介状が発行され、その足で近くの急性期もやっている大規模中核病院へ。どうやらそこには小児腎を専門でやっている医師がいるらしい。中年男性が勤務している大学病院や娘氏が生まれた大学病院には、小児腎臓専門の医師はいないと。5㎞県内に何百床もある大病院が3つもあるのに、小児の腎臓専門となってくるとやはりその存在はめずらしいのか。

 ことの顛末(まだ様子見の段階ではあるが)を先に話すと、娘氏は「急性糸球体腎炎」疑いとのことだった。疑いというのは、腎炎は診断の確定には腎生検が必要らしく、娘氏の「急性糸球体腎炎」はパターンとしては珍しいので、採血検尿データを見る限り、限りなく「急性糸球体腎炎」ではあるものの、今後(この記事の時点で入院から1週間後)も様子見が必要だと。

 病気に関しては、ググったらたくさん頼りになるWEBサイトが出るので、簡単に記載しておくと
 血尿が出た場合、それが赤血球だけなのか、他にもいろいろ出ちゃっているのかをまず見る。
 娘氏の場合、色々出ちゃっていた(タンパク、白血球)。
 そうなると今度は血液検査で、色々調べる。
 そうすると腎臓(糸球体)が原因なのか、その他の尿路系(尿道膀胱など非糸球体)が原因なのかわかるが、娘氏はここで腎臓が確定。
 さて、そうなると糸球体腎炎には大きくの分かれ道があり、「急性」なのか「慢性」なのかだ。

 正直さっと調べるとこれぐらいはわかってしまうので、この辺で中年男性は酷く憔悴してしまった。「慢性腎炎」の場合、その中にもいろいろと種類はあるものの、ほとんど完治せず、予後が良くないのだ。「急性」であれば、基本的には完治するものの、2歳半で「急性糸球体腎炎」は珍しく、その原因菌となる代表の「溶連菌」の抗体反応もなかったのだ(溶連菌に感染していなかったので、溶連菌が原因ではなかったのだ)。

 あぁ、口唇裂で生まれ、半年前には鎖骨を折られた娘氏が、2歳半にして今度は生涯治らない不治の病を抱えてしまうことになるかもしれないなんて、耐えられん。
 普段は神に祈ったりなんかしないが、こういうときは何かに祈りたくなる自分がいて、無性に腹立たしい。

 前述の通り、娘氏は血液検査の結果が1週間経たないうちに順調に回復しており、この所見は限りなく「急性」糸球体腎炎っぽい所見で、担当医の先生もそのようにおっしゃっている。
 現在(入院から1週後)はほぼほぼ血液データも正常値に入っており、補体と言われる数値とGFR(腎機能を示す数値)が次の検査(2週間後)で正常値に入ったら、その後は半年くらいで鮮血が解消し(既に肉眼的血尿は消失している)、その後は半年程度の定期的な尿検査のみで終わるとのことだ。

 今後の検査で何も見つからず、順調に数値が回復して、この記事や関連記事がこれ以上更新されないことを祈りながら、投稿を終える。

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